”人は必ず死ぬのだから、残された人は亡くなった人の分まで、必死で生きる”
と坊さんが教えてくれた。
なるほど。そういうことなのだな。
椅子に座りながら思った。妙に納得した。
”必死で生きる。”
果たして僕は必死で生きていられているのだろうか。
見たくないものから目を背け続けている。
後悔先に立たず。だけれど、僕は未だに後悔の上で息をしている。
妙に納得した言葉を受け取りながらも、
それでもなんとなく生きている気がしている。
季節の変わり目で風邪でもひいてしまったのかな。
止まらない咳をしながら、電車に揺られ、なんとなく、本当なんとなく筆をとる。
もう5月が終わる。1日1日が早い。
忘れていく思い出に縛られて、忘れないように言葉を残そう。
と思ったのだけど、辞めよう。
時間がたって、少しは現実から目を向けられるようになったとき、また言葉を残そう。
それまではゆっくり、僕なりに必死で生きよう。
マイペースに行こう。
Run Through
路肩にいるあの花は僕とは違い強く美しい。
"目を背けても何も変わらない。"
繰り返す自問は明日に投げた。
君の皺の数と僕の年を数え、過ぎた季節に浸るよ。
時の流れには逆らわず僕ら、変わることのない朝を迎えよう。
笑いあった日々の続きを指折り数える。
途切れた会話を繋いで。
『夏の夜に鳴る波の音、消えていく面影を残して。』
過去に投げかけたひとりごと。
届かないまま波に攫われていく。
あの日のように、笑える歌を僕がずっと歌い続けるから、
止まらぬ時計の針を抜き、何度目かの夏をともに過ごそう。